日当たりのいい場所に置かれた木製のテーブル。 それに向かい合うように並べられた2つの椅子。 パプニカの復旧作業の手伝いからの帰りだった2人。 少し休もうか、と腰掛けた。 『シャウト』
そういえば、とマアムは思い出したように言った。 「私たち、今までこんな風に向き合って座ったことなかったね」 「そう言われてみれば」 そうかもしれない、とヒュンケルは思った。 「戦場ではいつもヒュンケルの後ろ姿ばかり見てた気がする」 「戦士はパーティの先頭に立って仲間を護るのが基本だからな」 「役割上だけの問題かしら?」 くすくすとマアムは笑う。 お互いの顔がよく見える。 お互いの表情がよく見える。 自然と、視線が絡む。 にこにことマアムは微笑んでいた。 人の警戒心や猜疑心のさらに奥に踏み込んで 人を和ませる笑顔。 いたたまれなくなって。 先に視線を逸らしたのはヒュンケルだった。 「ヒュンケルの、負け」 「?」 「先に目を逸らした方が負けなのよ」 一瞬驚いた顔をして。 今度はヒュンケルの方が溜息をつくように笑う。 「いつからそのゲームは始まってたんだ?」 「目が合った瞬間から」 マアムはにこりとした。 「ずるいな」 「いつ戦いが始まってもいいように常に緊張しているのが戦士の基本でしょ?」 笑う。笑う。 「私たち、もう戦わなくていいのよ」 「あぁ、そうだな」 時間は、たくさんある。 日当たりのいい場所に置かれた木製のテーブル。 それに向かい合うように並べられた2つの椅子。 それに座って、話し合う2人。 「お前はいつもそうだな。相手の目をじっと見る」 「そうかな?」 「時々、こちらが落ち着かなくなる」 「何よそれ」 お互いについて向かい合う。
ここから一歩一歩。